公的保険と民間保険ってどう違うの?健康保険と国民健康保険も何が違うの?保険にはたくさんの種類があるため、このような疑問が生じがちです。今回は、これらの違いについて詳しく解説します。
なんでこんなにややこしいのさ!!
いやね、今自分が入っている保険を詳しく確認していたんだけど……。
会社で入っているものと、個人で入っているものとの違いがよくわからなくなってきて。
そもそも、健康保険と国民健康保険って何よ……。名前被ってるし、もう同じでいいじゃん……。
なんだかちょっとイライラしてきた。
では、つか夫さんのストレスを解消するためにも、公的保険と民間保険の違いについて簡単に整理して説明しますね。
それと、健康保険と国民健康保険の違いについても。
それはすごく助かるよ!
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目次
1.保険にはどんな種類があるの?
保険は大きく2つに分類されます。
1.公的(社会)保険 2.民間(個人)保険 |
それぞれ見ていきましょう。
1-1.公的(社会)保険とは?
公的保険は、日本の国民全員が加入しなければならないもので、国から保障を受けられる保険です。健康保険(公的医療保険)・労災保険・雇用保険・厚生年金保険・介護保険が公的保険に含まれます。
1-2.民間(個人)保険とは?
民間保険は、公的な機関ではなく、民間の営利あるいは非営利団体によって行われている保険です。要は個人で入る保険のことですね。なので、民間保険とも個人保険とも呼ばれたりします。
民間保険は損害保険と生命保険に大別され、加入するかどうかは任意です。テレビでもよく保険のCMが流れますが、それは民間保険の CMです。
2.公的保険と民間保険の違い
公的保険と民間保険には、大きな違いが3つあります。1つ目は加入条件、2つ目は保険料、3つ目は保障内容です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.加入条件
公的保険に加入することは義務化されていますが、民間保険は任意です。考え方としては、公的保険だけでは保障内容が心配だ、という時に加入するのが民間保険というわけですね。
確かに、もしもがんになったら、公的保険だけじゃ心配かも……。
自己負担が3割でも、がん治療にかかる医療費って高額だからね。
3割でも大金なのに。
そうですね。
がんだけに限りませんが、民間保険は公的保険でカバーしきれない部分を保障してくれます。国民の9割の世帯が加入していることからも、民間保険の重要性が伺えますね。
2-2.保険料
公的保険の保険料は所得に応じて決まりますが、民間保険の保険料はオプションや特約、受けられる給付金などによって決まります。
はい。先ほど、つか夫さんが言っていたがんで例えてみましょう。
年齢や性別の他に、がんでも保障の対象になるがんと、ならないがんがあります。先のことを考えてがん保険に入る人や、女性なら女性特有のがんに備える、過去にがんにかかった人は、再発に備えて保険に加入する人もいますよね。
さらに入院や通院、治療費の給付金を高くする、死亡保障を高くする、先進医療の特約などを付けると保険料はどんどん高くなります。
公的保険は、所得によって保険料が変わりますが、民間保険はがんになった時の保障を手厚くするほど保険料が高くなるんです。
民間保険は民間の企業がやっているんだもんね。
そりゃ、加入者が頻繁に病気になっちゃ困るし、保険料も変わってくるよね。
2-3.保障内容
公的保険は、原則として一律の保障内容となっていますが、民間保険はオプションを付けたり、給付金額を増やしたりすることで、保障内容が変わります。
というのも、民間保険は保障される内容を加入者が決められます。「がんになった時、より多くの保障をしてほしい」「自分が死んだ時、家族が困らないようにたくさんの保険金を残したい」など、加入者の願望に応じて、それに見合った保険内容を選ぶことができます。
公的保険は、所得によって保険料が変わりますが、保障内容は原則同じとなっています。
このように、公的保険と民間保険では、保障内容や保険料などに違いがあるのです。
3.社会保険とは?
気になったことがあるんだけど、公的保険と社会保険って違うものなの?
保険に使われる用語はたくさんありますので、ややこしいですよね。社会保険とは、要は公的保険のことです。
国や地方自治体といった公の機関が運営する公的保険、これが社会保険です。健康保険(公的医療保険)・労災保険・雇用保険・厚生年金保険・介護保険が社会保険にあたり、国民の生活を守るために、最低限の保障をしてくれます。
具体的には、ケガ・病気・障害・死亡・失業・老齢なんかの時に、金銭的な補助をしてくれますよ。
社会保険には健康保険が含まれているっていうけど、会社員の健康保険とは別に、国民健康保険もあるよね。
どっちも社会保険に含まれるの?
はい、含まれます。次は、健康保険の違いについても説明しましょう。
4.会社員の健康保険と国民健康保険の違い
会社員の健康保険と国民健康保険で、私たちが知っておくべき違いは5つほどあります。
1.運営主体 2.加入条件 3.手当金 4.扶養の有無 5.保険料 |
それぞれ説明いたします。
4-1.運営主体
会社員の健康保険は、主に「協会けんぽ」と呼ばれるところが運営しています。企業によっては、健康保険の組合を設けて、そこで運営しているところもあります。
一方で、国民健康保険は、各自治体で運営されています。
4-2.加入条件
会社員の健康保険は、基本的にその会社に勤務している正社員が加入します。正社員でなくても、正社員の4分の3以上労働している場合は加入します。
国民健康保険は、個人で事業をしている人や働いていない人などが加入します。会社員の健康保険の扶養対象になっていない家族は、国民健康保険に加入します。要は、他の健康保険に入っていなければ国民健康保険に加入します。
なので、「会社を退職し、会社員の健康保険から外れた場合は、国民健康保険に加入しなければならない」と覚えておくと良いでしょう。
4-3.手当金
会社員の健康保険と国民健康保険では、ほとんど保障内容は同じですが、決定的に違う部分があります。それは、出産手当金と傷病手当金の給付金がある orないという点です。
国民健康保険では、この2つの保障はありませんが、会社員の健康保険は保障してくれます。
4-4.扶養の有無
会社員の健康保険には扶養という制度がありますよね?
僕の場合だったら、会社員の健康保険に入っているから、妻の節子も保障の対象になるんだよね。
そうです。一定以上の所得があったら対象にならないなど、いくつか条件はありますが、基本的に家族は扶養の対象になりますね。扶養になる家族が何人いても、保険料は変わらないところが会社員の健康保険の魅力的なところです。
一方で、国民健康保険には、扶養という制度はありません。もしもつか夫さんが自営業を営んでいて、国民健康保険に加入していたとしたら、私は扶養されないので、私も国民健康保険に加入しないといけないんですよ。
えっ、でも専業主婦の節子には所得がないわけだし、保険料はどうなるの?
所得が0円でも保険料は払わないといけません。もちろん、所得がない分安くはなりますが、年間で数万円はかかりますね。そして、その請求は世帯主であるつか夫さんに来ます。世帯の誰かが国民健康保険に加入していた場合、請求は世帯主に来るんですよ。
だからもしも、つか夫さんが今の会社を辞めて、国民健康保険に加入するようになったら、私も分も含めて、2人分の保険料を支払うということになりますね。
4-5.保険料
会社員の健康保険と国民健康保険では、保険料にも違いがあります。
会社員の健康保険では、今もらっている給料をもとに保険料が計算されます。一方、国民健康保険料は、前年度の所得をもとに計算されます。
例えば、会社を退職したら国民健康保険に加入することになります。次の就職先が決まらず、収入がない状態でも、前年度にもらっていた給料をもとにした保険料が請求されるというわけですね。所得が0円なのに、支払う金額が高い……なんてことにもなりますからこの点は注意が必要です。
また、会社員の健康保険は、会社と加入者で保険料を折半します。折半された分が給料から天引きされているということですね。でも、国民健康保険にはもちろん折半はありません。なので、一般的に国民健康保険の方が、保険料の金額が高くなりがちですね。
何にも知らずに、会社員の健康保険に加入して、保険料も給料から引かれていたから、こんなに違いがあるなんて知らなかったよ。
最近では、フリーランスで働く人が増え、国民健康保険に加入する人も増えているそうです。そういった人が周りにいたり、国民健康保険に加入する機会があったりしないと、なかなか健康保険の違いについて知る機会はないかもしれませんね。
5.まとめ
- 保険には公的保険(社会保険)と民間保険がある
- 公的保険(社会保険)と民間保険は、保険料の決め方や保障内容の種類、そして加入が義務か任意かに違いがある
- 公的医療保険(健康保険)は、社会保険に含まれるものの一つで、他に労災保険・雇用保険・厚生年金保険などが含まれている
- 会社員の健康保険と国民健康保険では、運営主体・加入条件・手当金・扶養の有無・保険料に違いがある
保険って言っても、種類も特徴も様々なんだなぁ。
まずは公的保険と民間保険のような大枠で理解することが必要でしょう。
今回お話した内容は、まだまだ保険の入り口ですよ?