母子家庭を支援する5つの制度! 助成金や手当金の受け取り方マニュアル

母子家庭

母子家庭を経済的に援助してくれる助成金や手当金の制度は、意外と種類があります。しかし、これらの制度は実際に申請をしないと利用できないものばかり。今回は、母子家庭の人が絶対に利用すべき制度を、受給額と手続きの仕方のセットで説明します。当面の生活や教育費で不安を抱えているシングルマザーは必見ですよ!

節子

今回は、「母子家庭で絶対に利用したい公的制度」について詳しく解説します。離婚や死別でシングルマザーになった家庭は、国から一定の金銭的支援を受けることができます。例えば、児童扶養手当。こちらは、ひとり親の家庭に毎月5万円相当の手当が出る制度ですね。こういった国から支援をしてもらう制度は、こちらがしっかりと申請をしないと受け取ることができません。

つか夫

え、じゃあ知らずにいたらお金をもらえないってこと?

節子

その通りです。そうならないためにも、母子家庭ではどういった制度を利用できるのか、受給額や申請方法を一緒に確認していきましょう。

1.母子家庭を支援する制度、ちゃんと利用できていますか?

母子家庭 支援 制度

母子家庭を支援する公的制度には、以下のようなものがあります。

・遺族年金
・児童扶養手当
・児童育成手当
・住宅費助成制度
・ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)

これらは、どれも経済面で大きな助けになるものばかりで、ひとり親の家庭では絶対に活用したい制度です。自分から申請をしない限り適用されませんので、いざという時のために、受給額の目安や申請方法について、ある程度の知識を持っておくべきでしょう。役立つ制度があっても実際に利用できないのでは、とてももったいないですからね。

これから、それぞれの制度の概要・受給金額の目安・申請方法について詳しく説明します。

2.遺族年金

母子家庭 遺族年金

遺族年金は、夫が死亡した際に国民年金から支給されるお金のことです。年金といっても高齢になってからもらうものではありません。夫が亡くなってからすぐに支給され、子どもが18歳になるまで月にだいたい9万円ほど受給できますよ。

つか夫

月に9万円は嬉しい!
子どもが小さければ育児に仕事にって大変だと思うし、こういった援助は頼りになるね!

年間で考えると100万円以上の支給は、子育てするシングルマザーにとって大きな味方ですね。子どもが8歳だったら、18歳までで1,000万円以上の支給になりますよ!もしも夫が亡くなったとしても、遺族年金だけである程度の生活は保障されるわけです。

つか夫

そこまで高額な支給になるんだ……!

また、遺族年金は生命保険の保険金を決める参考にも良く使われます。
例えば、子どもの教育費や生活費を考えると、万が一の際は2,000万円の保険金が必要だったとしても、遺族年金で1,000万円の保障が付くのなら、死亡保険金は1,000万円に落とせます。

遺族年金だけに限りませんが、こういった公的保障を正しく理解していれば、月々の保険料を安くできて節約にもつながりますね。

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2-1.支給金額は年間100~130万円

実際に遺族年金で受け取れる金額は、以下の通りです。

給付額 18歳未満の子どもが1人

年間1,004,600円

18歳未満の子どもが2人

年間1,229,100円

18歳未満の子どもが3人

年間1,303,900円

4人以降 年間1,303,900円+4人以降の子ども1人につき74,800円
支給期間 子どもが18歳になるまで(18歳の年度末まで)

支給金額は子どもの人数で異なります。18未満の子どもが1人なら、18歳の年度末になるまで年間およそ100万円の手当を受け取れますね。

ただ、遺族基礎年金(基本的な遺族年金)は18未満の子どもがいない場合には支給されませんので、その点を注意しましょう。

2-2.遺族年金を受け取るための手続き

遺族年金を受け取るための手続きは、以下の通りです。

①死亡届を提出する
厚生年金加入者の場合→会社に「資格喪失届」を提出
国民年金加入者の場合→「国民年金被保険者死亡届」を役所に提出
亡くなった方がすでに年金をもらっていた場合→「年金受給権者死亡届」を年金事務所に提出②年金請求書を提出する
厚生年金加入者の場合→「年金請求書」を年金事務所または年金相談センターに提出
国民年金加入者の場合→「年金請求書」を役所、または年金事務所か年金相談センターに提出※年金事務所=日本年金機構の窓口

まずは死亡届の提出が必要です。厚生年金に加入している人は勤めている会社で、国民年金のみ加入している人は役所が提出先となっています。

死亡届の次は年金請求書の提出ですね。死亡届と年金請求書は同時に提出してもOKです。基本的に年金事務所か年金相談センターに提出しますが、遺族基礎年金のみを請求する場合(自営業者やフリーランスといった国民年金にのみ加入していた人)は役所でも大丈夫ですよ。

年金請求書は日本年金機構のHPから印刷できますし、年金事務所や年金相談センターの窓口にも備え付けてあります。

3.児童扶養手当

母子家庭 児童扶養手当

児童扶養手当は、離婚や死別などが原因でひとり親になった家庭へ支給される手当のことです。毎月5万円ほどの金額を受け取れますよ。

給付条件 ・父母が離婚した児童
・父母どちらかが死亡した児童
・父または母が政令で定める程度の障害の状態にある児童
・父、または母の生死が明らかでない児童

以前は、母子家庭の子どもだけが対象でした。ですが、2010年の8月からは父子家庭も対象になっています。

つか夫

遺族年金は死別じゃないと利用できないから、児童扶養手当は離婚の場合にうまく活用したい制度だね。
養育費だけで事足りればいいけど、実際はそれでも生活が厳しい家庭もあるし、そもそも養育費自体もらえていないシングルマザーだって多いもんね。

その通りですね。離婚の場合はまず児童扶養手当を利用したいですね。
それと、遺族年金と児童扶養手当は併用できない決まりになっています。受給額的に遺族年金の方が2倍近く高額なので、優先的にそちらを選んだ方がお得ですよ。

片親が亡くなった場合は遺族年金で保障を受け、離婚では児童扶養手当を利用するのが賢明ですね。

死別の場合でも、遺族年金を受給できない時(年金保険料を支払っていなかったというようなケース)は、児童扶養手当を利用しましょう。

3-1.支給金額は年間50~70万円

給付額 18歳未満の子どもが1人 年間507,960円
18歳未満の子どもが2人 年間627,960円
18歳未満の子どもが3人 年間699,960円
4人以降 年間699,960円+4人以降の子ども1人につき72,000円
支給期間 子どもが18歳になるまで(18歳の年度末まで)

※上記は全額支給の金額です

遺族年金と同様に、支給金額は子どもの人数で異なります。児童扶養手当を利用するのとしないのでは、毎月5万円近くも家計が変わってくるので、条件を満たしている場合は、すぐに申請すべきですね。

3-2.児童扶養手当を受け取るための手続き

遺族年金を受け取るための手続きは、以下の通りです。

①住んでいる地域の役所(子供担当課等)へ行き、必要書類の指示を受ける

②必要書類をそろえ、役所へ提出(申請)する

③申請した翌月に、自宅に認定通知の郵便が届く

④毎年の8月に現況届が郵送されるので、必要箇所を記入して返送する

手続きの流れは、住んでいる区市町村によって若干の違いがあります。ですが、だいたい上記通りです。

まずは、住まいの役所へ行きましょう。個人によってそろえる書類が変わってきますので、必要になる書類の指示を受けます。

その後、そろえた書類を役所で提出すれば手続きは完了です。提出した翌月に認定通知が届きますので、確認してください。

つか夫

現況届っていうのは?

現況届は、所得や子どもの状況を確認するものですね。要は、「児童扶養手当を来年も受け取ります!」という更新の書類です。現況届を返送しないと、手当を受けられなく場合があるので、必ず返送しましょう。

認定通知が届いた後は、自動的にお金が振り込まれるようになっています。児童扶養手当が支給される時期は、以下のようになっています。

支給される月:4月、8月、12月
※この月に4ヶ月分の金額がまとめて支給される

児童扶養手当は申請した翌月以降から受給資格を得ることができます。ですが、申請前の期間については遡って申請できません。そのため、離婚後はすぐに申請した方が良いですよ。

4.児童育成手当

母子家庭 児童育成手当

児童育成手当とは、死亡や離婚などで父または母がいない子どもを養育している人に、手当が支給される制度です。子ども一人につき、養育費として毎月13,000円ほどが支給されますよ。

給付条件 ・父または母が死亡した児童
・父または母が重度の障害を有する児童(身体障害者手帳1級・2級程度)
・父母が離婚した児童
・父または母が生死不明である児童
・父または母に1年以上遺棄されている児童
・父または母がDV保護命令を受けている児童
・父または母が法令により1年以上拘禁されている児童
・婚姻によらないで生まれた児童
・父母ともに不明

東京都で実施されている制度のため、他府県には児童育成手当がありません。ですが、自治体によっては、違った名称で似たような内容のものがあるみたいですね。

東京都に住んでいる場合は、ありがたく利用したい制度です。

4-1.支給金額は年間16万円

給付額 18歳未満の子ども1人につき 年間162,000円
支給期間 子どもが18歳になるまで(18歳の年度末まで)

※上記は全額支給の金額です

児童育成手当の支給金額は、子ども一人につき毎月13,500円です。自治体によって金額は多少異なり、13,000円のところもありますね。

4-2.児童育成手当を受け取るための手続き

児童育成手当の手続きは、児童扶養手当の手続きとほとんど一緒です。

①住んでいる地域の役所(子供担当課等)へ行き、必要書類の指示を受ける

②必要書類をそろえ、役所へ提出(申請)する

③申請した翌月に、自宅に認定通知の郵便が届く

④毎年の6月に現況届が郵送されるので、必要箇所を記入して返送する

まずは必要になる書類を確認してもらい、それらをそろえて提出しましょう。認定通知が届いた後は、自動的にお金が振り込まれます。児童扶養手当が支給される時期は、以下のようになっています。

支給される月:6月、10月、2月
※この月に4ヶ月分の金額がまとめて支給される

児童扶養手当と同様、必ず早い段階で申請をしましょう。

5.住宅費助成制度

母子家庭 住宅費助成制度

住宅費助成制度とは、名前の通り家賃補助を受けられる制度のことです。支給金額の目安は、毎月1万円前後ですね。自治体によって名称は様々で、制度自体がないところもあります。

東京では、目黒区・江戸川区・板橋区・豊島区・新宿区・渋谷区・北区・荒川区・千代田区・文京区などでそれぞれ住宅費助成制度を利用できますね。東京都以外でも、千葉県や神奈川県、富山県や島根県などで利用可能です。

給付条件 ・市内の民間アパートに居住
・住所地の住民票を所持
・市内に住んでいる期間が半年以上
・扶養義務者の前年の所得が、児童扶養手当の所得制限限度額未満
・養育している児童の年齢が20歳未満
・父または母が死亡した児童
・父母が離婚した児童
・父または母が生死不明である児童
・父または母に1年以上遺棄されている児童
・婚姻によらないで生まれた児童

5-1.支給金額は年間12万円前後

支給金額は自治体によって大きく異なりますが、毎月5,000~15,000円ほどで、年間に直すと12万円前後が目安です。

具体例として、東京都の武蔵野市で支給金額を確認してみましょう。オウチーノ総研による「シングルマザーにやさしい自治体ランキング【東京編】」で一位になった武蔵野市には、「ひとり親家庭住宅費助成制度」という名称の住宅費助成制度があります。

ひとり親家庭住宅費助成制度で受け取れる支給金額は以下の通りです。

給付額 月額1万円
支給期間 子どもが20歳になった月まで

5-2.住宅費助成制度を受け取るための手続き

住宅費助成制度を受け取るための手続きは、以下の通りです。

①半年間在住した後、必要書類を問い合わせる

②必要書類をそろえ、役所(子供担当課等)に提出する

③認定の通知書と住宅費助成の請求書が郵便で届くので、支給月の前月までに請求書を送付する

④所得の審査が毎年の3月に届くので、そちらに必要事項を記載して返送する

⑤毎年一回、現況届が郵送されるので、必要箇所を記入して返送する

住宅費助成制度も、まずは必要書類を確認するところから始まります。必要書類をそろえたら、住んでいる地域の役所へ提出(申請)します。

児童扶養手当や児童養育費手当と違う点は、申請した月から支給対象月となるところですね。

あとは、自宅に届く認定の通知書や請求書をもとに、住宅費助成の請求をすればOK。ちなみに、住宅費助成の請求書は、支給月の前月までに送付しなくてはいけません。支給月は年に3回あるので、3回請求書を送ることになりますね。その際に、住宅費を自分で支払ったことを証明する書類(領収書など)が必要になりますので、用意しておいてください。

支給月は自治体によって異なりますが、だいたい4月、8月、12月の年3回です。

6.ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)

母子家庭 ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)

ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)とは、ひとり親家庭の母または父にかかる医療費の自己負担額が1割になる、東京都の制度です。

この制度を利用するためには、事前の申請でひとり親医療証(マル親医療証)を交付されていなければなりません。この医療証を医療機関の窓口に提出して、はじめて医療費が減額されます。

給付条件 ・ひとり親家庭で18歳未満の児童を養育している母または父
・18歳未満で両親がいない児童を養育している養育者
・一定以上の所得ではない
※所得の基準は区市町村によって異なります
・生活保護を受けていない
・福祉施設に入所していない

6-1.医療費の自己負担金額が1割または免除になる

ひとり親家庭等医療費助成制度を利用すれば、ひとり親家庭の親の医療費が1割の自己負担で済むようになります。ただし、一か月あたりの上限額が決まっていて、通院であれば12,000円、入院なら44,400円ですね。

限度額を超えてしまうと、その月はそれ以上の助成を受け取ることができません。

ただ、住民税非課税者の場合だと話は変わり、そもそも医療費の全額が免除されます。一か月あたりの限度額もありません。

給付額 住民税課税者 医療費の自己負担金額が1割になる
住民税非課税者 全額が負担される
支給期間 子どもが18歳になるまで(18歳の年度末まで)

6-2.ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)を受け取るための手続き

ひとり親家庭等医療費助成制度を受け取るための手続きは、以下の通りです。

①住んでいる地域の役所(子供担当課等)へ行き、必要書類の指示を受ける

②必要書類をそろえ、役所へ提出(申請)する

③提出時に医療証を受け取る

④毎年の11月に現況届が郵送されるので、必要箇所を記入して返送する

必要書類を提出すれば、あとは病院などで治療を受けた時に、交付された医療証と健康保険証を提示するだけです。

ひとり親家庭等医療費助成制度も、現況届を年に一度提出する必要があります。ただ、児童扶養手当の現況届を8月に出している場合は、免除されるケースがほとんどです。

7.まとめ

  • 母子家庭を支援する多くの制度は、自分から申請しないと利用できない
  • 母子家庭向けの役立つ制度は以下の通り
    • 遺族年金:年間100~130万円
    • 児童扶養手当:年間50~70万円
    • 児童育成手当:年間16万円
    • 住宅費助成制度:年間12万円
    • ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親):医療費の自己負担金額が1割または免除になる
節子

児童扶養手当や住宅費助成制度など、私たちを援助してくれる制度は申請をするところから始めなければいけません。
ひとり親になったからといって、自動的にお金は振り込まれてきませんからね。
自分から情報を仕入れ、がつがつと利用しましょう!

つか夫

うーん、さすが節子。
お金の話になると目がギラギラだね!

節子

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