意外と知らない社会保険の種類!その特徴と内容を詳しく解説

社会保険 種類

社会保険と聞くと、健康保険証で医療費が安くなることを思い浮かべがちですが、それ以外にも保障してくれる内容は多く存在します。今回は、そんな社会保険の種類について詳しく見ていきましょう。

つか夫

いやー、今日も疲れた。
新人の子がね、質問の鬼でさー。
今日も、「先輩、社会保険ってなんですか、どうしてこんなに給料から引かれているんですか!社会保険って何を保障してくれるんすか!」
って、質問攻めしてきて困ったよ。

節子

あー、社会保険って結構複雑ですからねぇ……。
それで、なんて答えたんですか?

つか夫

「健康保険証をもらえる。」
とだけ答えておいた。(笑)
実際、僕もそんな詳しく答えられるほど社会保険のこと知らないし。

節子

確かに間違ってはいませんけど……。
では、社会保険について軽くお勉強しましょうか。
社会保険はとても大切な保険ですし、つか夫さんも詳しく知っておいた方が良いですよ。

1.社会保険とは?

社会保険制度

社会保険は、国や地方自治体といった公の期間が運営する保険です。簡単にいうと、「私たちが働けなくなった時に、金銭的に補助してくれる保険」です。つまり、私たちの生活を守ってくれる保障ということですね。

具体的に、公的医療保険(健康保険など)・公的年金保険(厚生年金など)・介護保険・労災保険・雇用保険が社会保険にあたります。ケガ・病気・障害・死亡・失業・老齢なんかの時に、金銭的な補助をしてくれるんです。

基本的に所属している会社の社会保険に加入することになり、保険料は所得によって決まります。つか夫さん、いつも給料から引かれているお金がありますよね?それの一部が社会保険の保険料です。

つか夫

確かに、健康保険や厚生年金保険、それに雇用保険なんかの保険料が毎月引かれているね。

ただ、労災保険は給料から差し引きされないんですよ。また、国民健康保険に加入している場合は支払い方や保障内容が変わってます。通常の会社員や自営業を営んでいる人、また公務員やパート・アルバイトなどで社会保険は少し変わってくるんですよ。

つか夫

えー……。
なんだかややこしいな。

そうですね。でも、社会保険の種類を1つずつ分類して見ていくと、案外すっきり理解できますよ。

なので、社会保険を種類別に詳しく見ていきましょうか。 

2.公的医療保険

公的医療保険

社会保険に含まれる保険の1つが公的医療保険。医療費を一部負担してくれるものです。健康保険証で医療費が3割になるやつ、といえば想像がしやすいと思います。

この公的医療保険にもいくつか種類があり、職業などの条件によって加入する保険が変わります。保障内容とともに、詳しく見ていきましょう。

2-1.健康保険

健康保険は、会社員の医療費を保障してくれる保険です。一般的な会社員であれば、家族とともに会社が入っている健康保険に加入することになっています。

つか夫

この健康保険によって、ケガや病気などの医療費を負担してもらえるってわけだね。

はい、その通りです。家族まで加入できるのは、会社が入っている健康保険に扶養の制度があるからですね。扶養の人数が増えても、保険料は変わりません。保険料は今もらっている給料をもとに計算され、毎月の給料から自動的に引き落とされます。

加入すると健康保険証が支給され、それを持っていると医療費が3割になります。例外はあり、先進医療による治療や美容が目的となる治療などは負担されませんが……。

ですが、死亡した場合に葬祭費が支給されたり、出産時に手当が出たりと、いろいろと保障してくれますよ。

2-2.船員保険

船員保険は船員として労働する人が加入する公的医療保険です。船員の医療費を保障してくれます。会社で入る健康保険と内容はほとんど同じですが、船員保険では普通の健康保険とは別に上乗せの給付があります。

つか夫

健康保険の船員バージョンってわけだね。
確かに、一般的な会社員と船員じゃ、ケガや病気の種類が全然違ってくるもんね。

そうなんです。船員は一般の会社員と比べて、ケガや病気になりやすい傾向がありますからね。なので、船員保険には船員労働の特性に応じた上乗せ給付があるんです。

例えば、下船後の療養補償として、乗船中に仕事以外でケガや病気になってしまっても、下船日から約3か月間は無料で治療することができますよ。

2-3.共済組合保険

こちらは公務員や教職員などが加入する公的医療保険です。公務員や教職員などの医療費を保障してくれます。船員保険と同様に、共済組合保険も会社で入る健康保険と内容はほとんど同じです。

ただ、保険料の金額が違っています。保険料がかなり安くなっているんですよ。特に国家公務員だとより安くなっていますね。

つか夫

健康保険の公務員・教職員バージョンってわけだね。

2-4.国民健康保険

国民健康保険は、会社で入る健康保険や船員保険、そして共済組合保険に入っていない人が加入する公的医療保険です。具体的には、自営業を営んでいる人や専業主婦で健康保険の扶養を受けてない人なんかが当てはまります。

会社で入る健康保険とほとんど保障内容は同じですが、国民健康保険には出産手当金や傷病手当金の給付金がないなど、多少異なる部分もあります。

ちなみに、国民健康保険には扶養という概念がありませんので、会社で入る健康保険のように1人入っていれば家族も扶養されるなんてことにはなりませんよ。

つか夫

えっ!?
じゃあ、専業主婦の人や学生の子どもなんかはどうなるの?

各自それぞれ国民健康保険に加入することになりますね。もちろん、所得のない人は保険料が安くなりますが、それでも年間に数万円はかかります。

ちなみに、世帯の誰かが国民健康保険に加入していた場合、保険料の請求はすべて世帯主に来ます。

つか夫

そうなんだ、それは知らなかったな。

それと、国民健康保険の保険料は前年の所得をもとに計算されます。

例えば、つか夫さんがこれから会社を退職したとします。そして国民健康保険に加入するとしましょう。すると、国民健康保険の保険料は前年にもらっていた給料をもとに請求されますので、所得が0円になっても支払う金額が高い!なんてことになる可能性があるわけですね。

会社で入る健康保険と国民健康保険では、このように異なる部分がいくつかあることを覚えておきましょうね。

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3.公的年金保険

公的年金保険

公的年金保険は、高齢になった時や障害を負ってしまった時、または死亡してしまった時に保障される保険です。高齢時(原則65歳から)にもらえる年金を老齢年金、障害を負った時にもらえる年金を障害年金、死亡してしまった時に遺族がもらえる年金を遺族年金と呼びます。そして、これらの公的年金の給付を受けるためには、毎月の保険料を納付する必要があります。

つか夫

年金って高齢になるまで無縁のものかと思っていたけど、障害を負った時や死亡した時にも受け取れるんだね。

そうですよ。ちなみに、日本国内に住所を持つ人は公的年金保険に必ず加入しなければいけません。これは義務ですよ!

そんな公的年金保険の制度には3つの種類があります。1つずつ見ていきましょう。

3-1.国民年金保険

日本に住所を持っている20歳以上60歳未満のすべての人が加入しなければいけないのが国民年金保険です。

国民年金保険の保険料は、平成28年4月~平成29年3月まで1か月あたり16,260円です。この保険料をちゃんと納付していれば、老齢年金も障害年金も遺族年金も「基礎年金」分は給付されますよ。

つか夫

ん、基礎年金分?
どういうこと?

実は、国民年金保険は基礎年金と呼ばれていて、最低限の保障のみなんですよ。要は、国民年金保険では老齢年金も障害年金も遺族年金も、もらえる額が少ないってことです。

例えば、平成26年度の老齢年金でもらえる基礎年金の平均は、1か月あたり約54,000 円ですね。

つか夫

うーん、その金額だと心もとないな……。

国民年金保険はあくまでも基礎となる年金です。これに加えて厚生年金保険の保険料を支払っていると、もらえる年金の額はまた変わってきます。

次はこの厚生年金保険について見ていきましょうか。

3-2.厚生年金保険

厚生年金保険の適用を受ける会社に務める人は、厚生年金保険に加入します。まぁ、ほとんどの会社で厚生年金保険は適用されているので、会社勤めの方はだいたいこの保険に加入していますね。

保険料は所得によって変わってきますが、平成28年では、月の給料の約18%ですね。つか夫さんも、毎月の給料から厚生年金保険の保険料が引かれていますよね?

つか夫

確かに毎月引かれている!
あれ、でも約18%も引かれていないよ……?

それはですね、会社が保険料の半分を支払っているからです。厚生年金保険は会社と個人で半分ずつ支払うのものなんですよ。なので、実質つか夫さんが負担している保険料は、給料の約9%ほどですね。

この厚生年金保険の保険料は、「国民年金保険の保険料+上乗せの保険料」という構成になっています。つまり、厚生年金保険の保険料を支払っていれば、基礎年金にプラスした金額がもらえるというわけです。

例えば、平成26年度の老齢年金でもらえる厚生年金の平均は、1か月あたり約145,000 円ですね。国民年金の約2.7倍の金額が支給されるというわけです。

つか夫

国民年金と厚生年金でこんなに差があるんだね……。
年金とかあんまり関心がなかったから、知らなかったよ。

ややこしいところなので、詳しく知らない人も多いと思いますよ。ちなみに、厚生年金保険はアルバイトやパートの人でも、正社員の4分の3以上労働していれば、加入することができます。

3-3.共済年金保険

共済年金保険は、公務員や教員などが加入する公的年金保険です。厚生年金保険は会社員が加入しましたよね?それの公務員・教員バージョンというわけですね。

つか夫

知ってる!共済年金保険の方が、より手厚く年金を受給できるんだよね。

はい。共済年金保険には「職域加算」と呼ばれる年金の上乗せ制度があり、厚生年金保険よりも多くの年金をもらえます。

また、保険料も優遇されていて、厚生年金保険に比べて割安です。ただ、平成27年10月に共済年金と厚生年金の一本化に伴い、職域加算は廃止され、割安な保険料も厚生年金保険の保険料に近づいてきました。

まだ、完全に差がなくなったわけではありませんが、以前に比べて共済年金保険は厚生年金保険と同様の内容になってきています。

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4.介護保険

介護保険

加入者に介護の必要が認められた時に、保障を受けられるのが介護保険です。介護保険は40歳以上のすべての人が加入して、保険料を納めます。40歳になると、加入している健康保険料に介護保険料が自動的に加算されます。会社の健康保険に加入している場合は、給料から差し引かれる健康保険料が増えるって感じですね。

ちなみに、65歳以上の場合は受け取る年金から自動的に介護保険料が差し引かれますよ。

つか夫

なるほど、40歳から保険料を支払うんだね。

はい。公的医療保険では、健康保険証を受け取り、それを病院の窓口で提示すると医療費が3割になりますよね?介護保険もその流れに似ていて、介護申請をした後にヘルパーや介護施設などを利用すると、自己負担金額が通常のだいたい1~2割くらいになるんですよ。ただ、介護保険には保障金の上限が決められているので、その金額を超してしまうとそれ以降は全額自己負担になります。

公的医療保険では、医療費が3割になる制度に上限はありませんのでそんなことないんですけどね。

つか夫

へー、そうなんだ。
要するに、介護保険は自分に介護が必要になった時、ある程度の金額が保障されるってことでOK?

保障を受けるためには諸々の条件があったりはしますが、その認識でOKです!

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5.労災保険

労災保険

労働者が業務上の理由からケガをしたり病気になったり、または障害を負ったり死亡してしまったりした時に、その労働者や遺族に保険給付が行われるものが、労災保険です。

この保険は会社が加入するもので、個人で入る必要はないですよ。なので、給料から労災保険料が引かれることもありません。全額会社が負担します。

労災保険を利用できるのは、アルバイトやパート、それに日雇いの人も含めた会社から賃金をもらって働いている人達です。ちなみに、通勤中でも労災保険は適用されますよ。

はい、今話した内容を一言でまとめると?

つか夫

仕事中や通勤中に、事故や災害なんかに巻き込まれたらお金がもらえる制度が労災保険で、保険料は会社が負担するから個人で支払う必要なし!
どう?

100点をあげましょう。労災保険はケガや病気の内容などによって支給される金額が変わってきます。医療費の場合はだいたい8割以上の金額が支給されるみたいですね。

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6.雇用保険

雇用保険は、失業によって再就職ための活動をしている人をサポートする保険です。雇用保険の給付にはいくつか種類がありますが、一般的に利用されているのが失業給付ですね。会社を辞めてから、次の会社を見つけるまでの期間を金銭的に補助してくれるものです。会社をやめてしまえば、収入がなくなってしまいますからね。お金がないから再就職のための活動ができないってことにはならないようにしてくれるわけです。

雇用保険に加入できる条件は「週20時間以上働いていて、31日以上の期間を雇用されていること」で、この条件に当てはまっていればパートやアルバイトでも加入することができます。月の雇用保険料は給料の0.5%で、給料から自動的に天引きされますよ。

つか夫

なるほど。
失業給付が支給されるのに、何かしらの条件ってある?

はい。失業給付が支給されるためにはいくつか条件があります。

  • 基本的に1年以上雇用保険に加入している
  • 離職後、一定の就職活動をしている
  • 離職後、ハローワークで手続きをしている

こちらが基本的な条件となっています。雇用保険は、就職しようとする意思(働く意思)といつでも働ける能力がある人を保障の対象としています。つまり、働く意思や働ける能力がなければ手当は支給されないということです。

例えば、定年退職でしばらくは就職しないと考えている人やケガ・病気ですぐに就職できない人なんかですね。他にも、妊娠や出産でしばらくは就職できない人も、失業給付は支給されません。

つか夫

働く意思と働ける能力が、基準となっているんだね。

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7.まとめ

  • 社会保険は、私たちが働けなくなった時に金銭的に補助してくれる保険のこと
  • 公的医療保険は、医療費の一部を負担してくれる保険で、健康保険などが含まれる
  • 介護保険は、加入者に介護が必要になった場合、介護にかかる費用を一部負担してくれる保険
  • 労災保険は、労働者が事故などでケガや障害などを負った場合、保険金を給付してくれる保険
  • 雇用保険は、失業した人が再就職するのを金銭的に援助してくれる保険
つか夫

ここまで詳しく社会保険について知る機会は今までになかったよ。
社会人になっても、特に誰かが社会保険について説明してくれるわけでもなかったしね。

節子

社会保険はいざという時に非常に頼りがいのある保険です。
なので、どういった時に利用できるのかはしっかり把握しておいた方が良いですよ。